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映画「この世界の片隅に」原作との違いとその理由

2019-08-05

こんにちは、とびうおです。

「この世界の片隅に」の映画が2019年8月に地上波初放送されました。

この作品には原作がありますが、映画ではカットされた部分や変更された部分がいくつかあります。

今回の記事では、「この世界の片隅に」の映画と原作の違い、その理由について書いてみたいと思います。



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「この世界の片隅に」とは

概要

「この世界の片隅に」は、第二次世界大戦中の広島で、呉に18歳で嫁いだ主人公すずとそこで生活する人々を描いた作品です。ドラマ化もされたこの作品ですが、2016年にアニメーション映画として公開されました。

私の記憶が正しければ、最初はいくつかの映画館での上映だったのが、人気を集め全国公開された後、ロングラン上映にまでなった作品です。戦時中が舞台の作品ですが、優しい絵柄・のんびりとした雰囲気に包まれた、「普通に生活をする人々」の映画となっています。

個人的に好きなのは主人公のすずの声をした「のん」さん。これがとっても役柄に合っていて素敵です。すずののんびりした性格やかわいらしい所が上手く表現されていると思います!

原作の作者は「こうの史代」さん。原作の新装版は上・中・下からなっており、親しみやすく優しい絵柄で描かれています。

映画に至るまでの経緯

この映画が他と違うのは、すべてが熱意を持った方たちによって作られた作品だということ。

実はこの映画はクラウドファンディングによって資金を調達し、ようやく公開となった作品なのです。

監督である「片渕須直」さんの熱意のもと、映像化を望む支援者が手を差し伸べてできた作品である本作が、素晴らしくないはずがないですね!

映画「この世界の片隅に」原作との違いと理由

前提として、原作と映画は表現方法も表現をする長さ(映画では尺)も異なりますので、違いがでるのは当然のことと言えます。そんな前提を踏まえた上で、原作と映画の違いをいくつかご紹介したいと思います。

■その1■ すずの夫「周作」と遊女であるリンの関係

すずの夫「周作」とリンは映画ではあまり接点がないように感じますが、原作ではこの2人、昔に関係があった(婚約者?)ということになっています。

また、原作ではリンの過去も詳しく描写され、主人公であるすずとも何度か交流がある場面が描かれています。映画では、残念ながらこれらの場面がすべてカットされています。

理由としては監督のインタビューを読む限り、資金と尺の問題のようですね。

でも、端折っても良さそうなエピソードを大量に端折って、すずさんの生活感をなくしてリンさんのエピソードを入れた場合、後々に「もっとすずさんの生活感を充実させましょう」という話にはなりにくいんです。(片渕)

引用:「『この世界の片隅に』片渕須直監督インタビュー前編「この空間を想像力で埋めてはいけないと思った」 - KAI-YOU.net」より/敬称略

■その2■ 終戦がラジオで伝えられたあとの描写

ラジオで終戦が伝えられたあと、すずは悔しさから外へ飛び出します。この後の場面が、監督があえて原作と変えた箇所になります。

原作では「この国から正義が飛び去ってゆく」「暴力で従えとったいう事か」というすずのセリフがありましたが、映画では「海の向こうから来たお米、大豆、そんなもんでできとるんじゃなぁ、うちは」というようなセリフに変更されています。

これがどういう意図かというと、監督のインタビューにはこのように書かれています。

ここで使われている「暴力」とか「正義」というのを、当時の人は意識してないんですよ。終戦直後に米国の進駐軍が行った当時の意識調査がちゃんとある。むしろ、庶民がそれ(「暴力」や「正義」といった意識)を抱いていないことに、進駐軍のほうがビックリしているくらい。

庶民の側には、普通に国が戦争をやってるからくっついていっただけ、みたいな感じがある。庶民は「アメリカのほうが科学力や物量に優れていて、単純にそれで負けた」と思っていて、実は「正義」とかっていう言葉は入ってきようがない。まだ、きちんとした認識が生まれていないんです。なので、すずさんが生活者視点でそういった意識に近いことを気づくとしたら、どういった言葉になるのか? と考えて、セリフを変えています。(片渕)

引用:「『この世界の片隅に』片渕須直監督インタビュー前編「この空間を想像力で埋めてはいけないと思った」 - KAI-YOU.net」より/敬称略

表現を変えた理由としては、実際の当時の庶民の考えの中に、戦争に負けたことに対して「暴力」や「正義」という言葉はない、というのが監督が調べた結果であり、考えであるということですね。

原作のセリフは時代背景から言えば間違ってはいないのですが、より庶民にフォーカスを向けたとき、すずが言う「体をつくっているのは外国から来た食べ物」とすることで一個人の感情を示す表現になっているのかなと思いました。

原作のこうの史代さんは、すずに語らせることで「日本という国がした戦争や時代背景を表現した」ことに対し、監督の片淵さんは「当時の庶民の感情を表現した」のかなと推測します。

おわりに

今回は「この世界の片隅に」の映画と原作の違い、その理由について調べて書いてみました。

この作品にこめられた想いはまだ他の映像の中にいくつもあります。「なぜ?」と思われる、分かりにくい箇所も多くありますが、それもこの作品の魅力のひとつだと思います。是非たくさんの人に観ていただきたい作品です。

なお、2019年12月20日には約30分の新規場面を付け足した別バージョン作品「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」が上映されるそうなので、こちらも楽しみですね。

この記事が少しでも参考になれば嬉しいです。

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